私には片思いの人がいた。
好きで好きで、たまらない人だった。
今でも思い出すたびに、胸がキュッと締め付けられる。
あの人も私と同じように迫り来る試練に立ち向かっている。
そう思うと、頑張らなければいけないと思った。
だけど、あの人とほんの少しの距離さえ、縮まることはなかった。
一言も話せない日もあった。
私とあの人は友達だった。そうは言えない。あの人は私のことがとても嫌いだったから。
私も好きではなかった。なのに、いつの間にか好きになってしまっていた。
いつか、あの人の気持ちが私に向くと信じて、私は一日一日を過ごした。
独りぼっちの私を、音楽だけが支えてくれて、一方通行のあの恋を、音楽だけが後押ししてくれて……
時には、悲しくて、涙を流した夜もあった。
いつまで経っても、あの人が私のことを好きとは言ってくれないと、分かっていたから。

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